勝手にぬくみなりえ前夜祭
(全然前日じゃない)
仕事を一時間早く切り上げた・・・。
3時半ごろ帰宅。ドタバタ用意して出発、時計はもう4時をまわっていた。
6時ごろ着か・・・。
さほどの渋滞もなく奈良県を抜ける。
途中雨がぱらついてきた。
「通り雨やろう・・・」「・・やといいね」子供が後ろで寝息をたてている中、夫婦の会話が後に襲う悲劇を知るすべもなく交わされる。
「着いたど〜」
子供たちはすぐには起きない。
橋を渡る。
ヘッドライトに「清流の里ぬくみ」の看板が浮かび上がってすぐ消える・・・。
「・・・?なんか暗いな・・・」
予約しておいた5号棟コテージ前に車を止める。
「先にお金払ってくるわ」
私がそう言って、家内と目をこすっている子供を残し車を降り、管理棟に向かう。
「ん?」
5号棟コテージ隣にテント泊の方がみえる・・・。
(なぜあそこに予約を入れたのだろう・・・)
管理棟に向かう。
SPのリビングシェルが3つ確認できた・・・しかし・・・。
静かなフィールド・・・違和感はこの時すでに感じていた。
「こんばんわ!まいど!」
「・・・!」
ぬくみパパとママがびっくりした顔をしている・・・この時もやはり違和感は感じていた。
「けんじさん・・えっと・・予約してはりました?」とぬくみパパ。
「え?はいCANのところで・・・」と私。
その後はどういう会話だったか・・・今となっては記憶が飛んでいる・・・。
私のテンションとパパとのテンションに埋めようの無い温度差があり、異様な空気に包まれていた。
微妙に噛み合わない会話・・・
そして・・・
「楽しみですよね〜ぬくみなりえ」 「来週お子さんはいけるんですか?」
「まだね〜準備が・・・」 「けんじさん来週、初参加なんですよね〜」
パパとママの言葉が、住所と名前を書いている私の脳に妙な響きを与える・・・。
「楽しみ」 「来週」 「初参加」
「準備」 「まだ」
言葉と外の環境とのパズルが動き出す・・・
・・・それらは必然と揺るぎない一つの答えの方に吸い込まれていく・・
・・・・・・・・線・・が繋がった・・・
・・・・・・!
「パパ、ママ!今日何日!?」
「12月1日や!!!」
大きな声で自問自答!
「ぬくみなりえ来週やん!!!」
パパとママが口を半開きでキョトンとしている・・・。
私はその場に崩れ落ち、立ち上がれない。
その後もパパとママとどう言葉を交わしたか・・・詳しく思い出せない。
「ゆ、ゆっくりしていきまっさ〜・・・」と力のない声で管理棟を後にしたのは覚えている。
車に戻り、家内に説明する。
「パパがさ、3号棟に移ってもいいよって・・・」と私。(すごく変な笑いをしていたと思う)
「え?3号棟って、キッコリーさんがパーティーするって・・・」と家内は不思議そうな顔をする。
・・・・・・・・
少しの沈黙
私が、重い口を開く・・・。
「ここで、すごくビックリなお知らせがあります」
「ぬくみ・・なりえ・・・来週や・・った・・・」
「えっ!!!」